こんな夢を見た。

20年後の私、札幌地裁で判事の職についていた。

奨学金も返済できたし、親とも縁が切れていた。

そろそろ妻がほしい・・・そう思っていた。


ずっとあのころから作ってきた homepage 。

そこで出会った同類の子と恋に落ちた。

18歳、離れていたけど、そんなこと気にならなかった。


ある日、その子のうちに遊びに行くことになった。

彼女は親と同居していた。

彼女の家へ向かう途中、彼女に家族のことを聞いてみた。

「お父さん、何されているの?」とか。

「わけわかんない研究してるよ・・・。学者なんだよね。」

彼女はそんな風にこたえた。


彼女の家に着いた。

家には彼女のお父さんだけがいた。

彼女のお父さんに名乗って、顔を見た。

・・・ただ、驚くしかなかった。

彼は私が大学時代世話になった先生だった。

ただひとり、私の「秘密」を知っていた先生。

そう、私が同性愛者だと知っていて・・・唯一の理解者だった。


先生も私に気づいたらしい。

「ちょっといいかい?」

そんなふうに声をかけられ、別室に連れて行かれた。

「娘と友達なの?なんか、僕とLilyさんが友達だっていってるくらい

不自然だよね・・・。」

私はこたえに窮してしまった。

そして、先生は私の耳元で、こうささやいた。

「うちの娘とかけおちなんてしたら、絶対に許さないからね。」

彼女に似た似た美しい目で、

でも、彼女にはない冷たい目で

私を見ていた。


・・・目が覚めた。目覚めのよさに哀しさを感じた。


夢を見て、おのれの罪に気づかされた。

人間は自分の遺伝子を遺すために生きている。と思う。

私が誰かと愛し合うことで、そこで、その血縁は途絶えてしまう。

遺伝子を次の世代に残せないことになる。

本人たちは、まだいい。納得済みだろうから。

傷つくのはその親たちだろう。

遺伝子を残せない本能的な悲しみは

「孫の顔が見れない。」という

心情的な悲しみとなって表面に表れるだろう。

結局、誰かを傷つけることになる。


でも、私はその罪を背負って生きていかなければならない。

永遠に片思いを覚悟しなければならない。

誰かを傷つけたくなかったら。

誰かを傷つけてまで恋をしなければならないのか?


それは僕が選んだ、僕の宿命。

一生背負い続ける他ないだろう。



© Rakuten Group, Inc.